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短歌のピーナツ

堂園昌彦・永井祐・土岐友浩が歌書を読みます。

土岐

第55回 三山喬『ホームレス歌人のいた冬』

足で読む 土岐友浩 ホームレス歌人のいた冬 (文春文庫) 作者: 三山喬 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/12/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 公田作品の魅力は、透明感だった。極限状況に置かれても、それをストレートに嘆くわけではな…

第52回 前登志夫『吉野鳥雲抄』

桜とともに 土岐友浩 吉野鳥雲抄 いつしか四月が来ている。 四月が来るのではなく、わたしのいのちという時間が確実にあらたな季節へ移っているのである。 うちなびく春来るらし山のまの遠き木末(こぬれ)の咲きゆくみれば (『万葉集』巻八) 尾張連(おわ…

第48回 林和清『京都千年うた紀行』

そうだ、京都を詠もう。 土岐友浩 京都千年うた紀行 作者: 林和清 出版社/メーカー: 日本放送出版協会 発売日: 2008/09 メディア: 単行本 クリック: 2回 この商品を含むブログを見る 旅のガイドブックと言えば、絶版だけれどガリマール社の「旅する21世紀」…

第43回 大塚英志『キャラクター小説の作り方』

書かれなかった「キャラクター短歌論」のために 土岐友浩 キャラクター小説の作り方 (星海社新書) 作者: 大塚英志 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/10/25 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 今、ぼくの手許には『手紙魔まみ、夏の引越…

第39回 吉井勇『東京・京都・大阪』

芸と酔態と 土岐友浩 東京・京都・大阪 (平凡社ライブラリー) 作者: 吉井勇 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2006/07/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 5回 この商品を含むブログ (9件) を見る まぼろしは見るものではなく、見せるものだ。短…

第35回 玉城徹『茂吉の方法』

茂吉「凡」歌 土岐友浩 茂吉の方法 (1979年) これは、方法の書である。わたしは、もっぱら、斎藤茂吉が、その短歌において用いた方法のみを、考察の対象にすることを心がけた。あるいは、次のように言った方が正確かもしれない、茂吉の作品を通して、「短歌…

第32回 関川夏央『子規、最後の八年』

にぎやかに、時に静かに 土岐友浩 子規、最後の八年 (講談社文庫) 作者: 関川夏央 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/04/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 子規たちも、かつて闇鍋をしていた。 闇汁会を発案したのは子規であった。…

第29回 坂野信彦『七五調の謎をとく』

七と五のまわり 土岐友浩 七五調の謎をとく―日本語リズム原論 作者: 坂野信彦 出版社/メーカー: 大修館書店 発売日: 1996/10 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (2件) を見る 昨日、こんなツイートが回ってきた。 @Perfect_In…

第26回 永田和宏『解析短歌論』

「ない」を見る眼 土岐友浩 解析短歌論―喩と読者 作者: 永田和宏 出版社/メーカー: 而立書房 発売日: 1986/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「短歌のピーナツ」第10回で、塚本邦雄の『新撰小倉百人一首』を取り上げた。その名の通り、百人一…

第23回 高島裕『廃墟からの祈り』

光を待つ 土岐友浩 廃墟からの祈り 2007年12月、京都で「いま、社会詠は」というシンポジウムが開催された。 小高賢が結社誌「かりん」の誌上で、イラク戦争などを背景として、現代における社会詠の難しさを論じ、青磁社の時評を担当していた大辻隆弘、吉川…

第20回 佐藤春夫『晶子曼陀羅』

事実か、真実か、それとも物語か 土岐友浩 晶子曼陀羅 (講談社文芸文庫) 作者: 佐藤春夫 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1993/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 与謝野晶子といえば歴史の教科書に「君死にたまふことなかれ」という詩…

第17回 阿木津英『折口信夫の女歌論』

「折口信夫の女歌論」を越えて 土岐友浩 折口信夫の女歌論 (五柳叢書) 折口信夫は、国文学の大学者であり、近代社会を徹底的に批判したアウトサイダーでもあった。 * 近代短歌は、正岡子規が「写生」を唱えたところから始まった。言い換えれば、「写生」が…

第14回 枡野浩一『石川くん』

不来方への手紙 土岐友浩 石川くん (集英社文庫) 作者: 枡野浩一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2007/04/20 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 19回 この商品を含むブログ (44件) を見る 昔やっていた「トリビアの泉」というTV番組では、なぜか啄木が取…

第10回 塚本邦雄『新撰小倉百人一首』

星を編んだ眼 土岐友浩 新撰小倉百人一首 (1980年) 映画の「ちはやふる」が面白かったから、というわけでもないのですが。 競技かるたに使われる百人一首は、藤原定家が晩年に編んだもので、後世のものと特に区別する場合は「小倉百人一首」と呼ぶ。 もちろ…

第7回 山田航・編著『桜前線開架宣言』

一万匹の中の一匹の羊の眼 土岐友浩 桜前線開架宣言 作者: 山田航 出版社/メーカー: 左右社 発売日: 2015/12/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (5件) を見る 現代短歌の成果が、とうとう目にみえる形になってまとめられた。 2015年…

第6回 正岡子規『仰臥漫録』

美と楽しみの眼 土岐友浩 仰臥漫録 (岩波文庫) 作者: 正岡子規 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1983/11/16 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 56回 この商品を含むブログ (52件) を見る 正岡子規の文章を読むと、とても元気が出る。 子規の歌論といえ…

第3回 岡井隆『辺境よりの註釈 塚本邦雄ノート』

岡井隆 塚本邦雄 辺境よりの註釈 星を動かす眼 土岐友浩 サブタイトルにある通り、岡井隆が塚本邦雄を読む、という本である。 書き出しは、こうだ。