短歌のピーナツ

堂園昌彦・永井祐・土岐友浩が歌書を読みます。

第57回 玉城徹『近代短歌とその源流ー白秋牧水まで』

大森静佳 こんにちは、京都の大森静佳です。 今回、ゲストとして短歌のピーナツに呼んでいただきました。 取り上げる本は玉城徹『近代短歌とその源流―白秋牧水まで』。迷いに迷って決めました。なんだか小難しそうなタイトルですが、一冊を貫いているテーマ…

第56回 片山貞美・編『歌あり人あり 土屋文明座談』

土屋文明超ロングインタビュー 堂園昌彦 歌あり人あり―土屋文明座談 作者: 土屋文明,片山貞美 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1979/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る こんにちは。 今回ご紹介したいのは、片山貞美編の『歌あり人あり 土…

第55回 三山喬『ホームレス歌人のいた冬』

足で読む 土岐友浩 ホームレス歌人のいた冬 (文春文庫) 作者: 三山喬 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/12/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 公田作品の魅力は、透明感だった。極限状況に置かれても、それをストレートに嘆くわけではな…

第54回 塚本邦雄『茂吉秀歌「あらたま」百首』

永井祐 こんにちは。 今日は塚本邦雄・著『茂吉秀歌『あらたま』百首』(講談社学術文庫)をやります。 茂吉秀歌『あらたま』百首 (講談社学術文庫) 作者: 塚本邦雄 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1993/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を…

第53回 佐藤通雅『岡井隆ノート 『O』から『朝狩』まで』

岡井隆の初期とその時代について 堂園昌彦 こんにちは。堂園です。 今回で「短歌のピーナツ」開始1周年。にも関わらず、更新遅くなって本当にすみませんでした。 さて、今回取り上げたい本は、佐藤通雅さんの『岡井隆ノート』です。佐藤さんは「短歌のピー…

第52回 前登志夫『吉野鳥雲抄』

桜とともに 土岐友浩 吉野鳥雲抄 いつしか四月が来ている。 四月が来るのではなく、わたしのいのちという時間が確実にあらたな季節へ移っているのである。 うちなびく春来るらし山のまの遠き木末(こぬれ)の咲きゆくみれば (『万葉集』巻八) 尾張連(おわ…

第51回 内野光子『現代短歌と天皇制』

牛尾今日子 こんにちは、わたしは牛尾今日子と申します。ゲストです。 去年の、いわゆる天皇陛下のお気持ち会見、そして平成が終わるという話は、みなさんの記憶に新しいことと思います。今回とりあげたいのは、天皇制と短歌の話です。 天皇制の話は、宗教的…

第50回 続 品田悦一『万葉集の発明―国民国家と文化装置としての古典』 

永井祐 こんにちは。 万葉集の発明―国民国家と文化装置としての古典 作者: 品田悦一 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2001/02 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 10回 この商品を含むブログ (6件) を見る 今回はもう一回、品田悦一『万葉集の発明』をや…

第49回 品田悦一『斎藤茂吉―あかあかと一本の道とほりたり』

超ロジカル茂吉評伝 堂園昌彦 斎藤茂吉―あかあかと一本の道とほりたり (ミネルヴァ日本評伝選) 作者: 品田悦一 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房 発売日: 2010/06 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (3件) を見る こんにちは…

第48回 林和清『京都千年うた紀行』

そうだ、京都を詠もう。 土岐友浩 京都千年うた紀行 作者: 林和清 出版社/メーカー: 日本放送出版協会 発売日: 2008/09 メディア: 単行本 クリック: 2回 この商品を含むブログを見る 旅のガイドブックと言えば、絶版だけれどガリマール社の「旅する21世紀」…

第47回 品田悦一『万葉集の発明 国民国家と文化装置としての古典』

永井祐 こんにちは。 今日は、品田悦一(よしかず)『万葉集の発明』(新曜社・2001)をやります。 万葉集の発明―国民国家と文化装置としての古典 作者: 品田悦一 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2001/02 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 10回 この…

第46回 阿木津英『短歌のジェンダー』

そして、なぜ、短歌なのか? 寺井龍哉 短歌のジェンダー 作者: 阿木津英 出版社/メーカー: 本阿弥書店 発売日: 2003/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本郷短歌会の寺井龍哉です。東京では寒い日が続いています。少し歩くだけで寒さに身がち…

第45回 穂村弘『短歌という爆弾』

宇都宮敦 短歌という爆弾: 今すぐ歌人になりたいあなたのために (小学館文庫) 作者: 穂村弘 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2013/11/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (4件) を見る こんにちは、宇都宮敦です。ゲストです。とりあげるのは、穂村弘…

第44回 本多正一『プラネタリウムにて 中井英夫に』

最晩年の中井英夫とその助手について 堂園昌彦 プラネタリウムにて―中井英夫に 作者: 本多正一 出版社/メーカー: 葉文館出版 発売日: 2000/02 メディア: 単行本 クリック: 3回 この商品を含むブログを見る こんにちは、堂園です。 今回やるのは、2000年に葉…

第43回 大塚英志『キャラクター小説の作り方』

書かれなかった「キャラクター短歌論」のために 土岐友浩 キャラクター小説の作り方 (星海社新書) 作者: 大塚英志 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/10/25 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 今、ぼくの手許には『手紙魔まみ、夏の引越…

第42回 齋藤史『齋藤史歌文集』

永井祐 こんにちは。 今日は齋藤史『齋藤史歌文集』をやってみます。 斎藤史歌文集 (講談社文芸文庫) 作者: 斎藤史 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2001/09 メディア: 文庫 クリック: 5回 この商品を含むブログ (3件) を見る 講談社文芸文庫なので入手はし…

第41回 藤沢周平『白き瓶 小説長塚節』

長塚節と初期アララギの混沌 堂園昌彦 白き瓶―小説長塚節 (文春文庫) 作者: 藤沢周平 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2010/05/07 メディア: 文庫 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る こんにちは。 今回紹介するのは、藤沢周平が1985年に文芸…

第40回 竹内博・編『香山滋全集別巻』

ゴジラの源流に短歌あり 吉田隼人 評論・年譜他 (香山滋全集) 作者: 香山滋,山村正夫,竹内博 出版社/メーカー: 三一書房 発売日: 1997/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る こんにちは、吉田隼人です。『シン・ゴジラ』、みなさんは何回…

第39回 吉井勇『東京・京都・大阪』

芸と酔態と 土岐友浩 東京・京都・大阪 (平凡社ライブラリー) 作者: 吉井勇 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2006/07/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 5回 この商品を含むブログ (9件) を見る まぼろしは見るものではなく、見せるものだ。短…

第38回 篠弘『近代短歌論争史 明治大正編』

永井祐 こんにちは。 今日やるのは、 『近代短歌論争史 明治大正編』(篠弘)です。 近代短歌論争史〈明治大正編〉 (1976年) 作者: 篠弘 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1976 メディア: ? この商品を含むブログを見る この本はまあ、、 ちょっと専門書っ…

第37回 岡井隆『現代短歌入門』

60年代論争史 阿波野巧也 現代短歌入門 (講談社学術文庫) 作者: 岡井隆 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1997/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る こんにちは。阿波野巧也です。 去る11月23日、東京で行われたガルマンカフェで楽しくビー…

第36回 楠見朋彦『塚本邦雄の青春』

映画「この世界の片隅に」と呉時代の塚本邦雄 堂園昌彦 塚本邦雄の青春 (ウェッジ文庫) 作者: 楠見朋彦 出版社/メーカー: ウェッジ 発売日: 2009/02 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (8件) を見る こんにちは。堂園です。 今回…

第35回 玉城徹『茂吉の方法』

茂吉「凡」歌 土岐友浩 茂吉の方法 (1979年) これは、方法の書である。わたしは、もっぱら、斎藤茂吉が、その短歌において用いた方法のみを、考察の対象にすることを心がけた。あるいは、次のように言った方が正確かもしれない、茂吉の作品を通して、「短歌…

第34回 岡井隆『森鷗外の『沙羅の木』を読む日』

永井祐 こんにちは。 今日は、さいきん読んだ本からやります。 森鷗外の『沙羅の木』を読む日 作者: 岡井隆 出版社/メーカー: 幻戯書房 発売日: 2016/06/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 岡井隆『森鷗外の『沙羅の木』を読む日』(幻戯書房…

第33回 前田透『落合直文―近代短歌の黎明』

「近代短歌」の祖、落合直文 堂園昌彦 落合直文―近代短歌の黎明 (1985年) 作者: 前田透 出版社/メーカー: 明治書院 発売日: 1985/10 メディア: ? この商品を含むブログを見る こんにちは。堂園です。 今回やるのは、前田透著『落合直文―近代短歌の黎明』(明…

第32回 関川夏央『子規、最後の八年』

にぎやかに、時に静かに 土岐友浩 子規、最後の八年 (講談社文庫) 作者: 関川夏央 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/04/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 子規たちも、かつて闇鍋をしていた。 闇汁会を発案したのは子規であった。…

第31回 吉本隆明『吉本隆明全著作集5』

永井祐 こんにちは。 最近いそがしくて。10月くらいとか、何かとあるんですよね。 そういうわけで、いつもより準備できてないんですが、 定期更新が大事であるブログなので、今回もやっていこうと思います。 本は、「吉本隆明 全著作集5(文学論Ⅱ)」(勁…

第30回 田中登、松村雄二編『戦後和歌研究者列伝―うたに魅せられた人びと』

研究者でたどる和歌史 堂園昌彦 戦後和歌研究者列伝―うたに魅せられた人びと 作者: 田中登,松村雄二 出版社/メーカー: 笠間書院 発売日: 2006/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る こんにちは、堂園です。 最近、いろんな人から「堂園さ…

第29回 坂野信彦『七五調の謎をとく』

七と五のまわり 土岐友浩 七五調の謎をとく―日本語リズム原論 作者: 坂野信彦 出版社/メーカー: 大修館書店 発売日: 1996/10 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (2件) を見る 昨日、こんなツイートが回ってきた。 @Perfect_In…

第28回 斎藤茂吉『斎藤茂吉随筆集』

永井祐 先日、とある会合の帰りの電車で、 同じ会に出ていた人と二人きりになった。 23時を過ぎた、それほど混んでいない中で並んで吊革につかまっていると、 その人が「永井さんは旅行、しないの?」と言ってきた。 「しない」という返事をはっきりと予想…