短歌のピーナツ

堂園昌彦・永井祐・土岐友浩が歌書を読みます。

2016-01-01から1年間の記事一覧

第39回 吉井勇『東京・京都・大阪』

芸と酔態と 土岐友浩 東京・京都・大阪 (平凡社ライブラリー) 作者: 吉井勇 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2006/07/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 5回 この商品を含むブログ (9件) を見る まぼろしは見るものではなく、見せるものだ。短…

第38回 篠弘『近代短歌論争史 明治大正編』

永井祐 こんにちは。 今日やるのは、 『近代短歌論争史 明治大正編』(篠弘)です。 近代短歌論争史〈明治大正編〉 (1976年) 作者: 篠弘 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1976 メディア: ? この商品を含むブログを見る この本はまあ、、 ちょっと専門書っ…

第37回 岡井隆『現代短歌入門』

60年代論争史 阿波野巧也 現代短歌入門 (講談社学術文庫) 作者: 岡井隆 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1997/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る こんにちは。阿波野巧也です。 去る11月23日、東京で行われたガルマンカフェで楽しくビー…

第36回 楠見朋彦『塚本邦雄の青春』

映画「この世界の片隅に」と呉時代の塚本邦雄 堂園昌彦 塚本邦雄の青春 (ウェッジ文庫) 作者: 楠見朋彦 出版社/メーカー: ウェッジ 発売日: 2009/02 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (8件) を見る こんにちは。堂園です。 今回…

第35回 玉城徹『茂吉の方法』

茂吉「凡」歌 土岐友浩 茂吉の方法 (1979年) これは、方法の書である。わたしは、もっぱら、斎藤茂吉が、その短歌において用いた方法のみを、考察の対象にすることを心がけた。あるいは、次のように言った方が正確かもしれない、茂吉の作品を通して、「短歌…

第34回 岡井隆『森鷗外の『沙羅の木』を読む日』

永井祐 こんにちは。 今日は、さいきん読んだ本からやります。 森鷗外の『沙羅の木』を読む日 作者: 岡井隆 出版社/メーカー: 幻戯書房 発売日: 2016/06/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 岡井隆『森鷗外の『沙羅の木』を読む日』(幻戯書房…

第33回 前田透『落合直文―近代短歌の黎明』

「近代短歌」の祖、落合直文 堂園昌彦 落合直文―近代短歌の黎明 (1985年) 作者: 前田透 出版社/メーカー: 明治書院 発売日: 1985/10 メディア: ? この商品を含むブログを見る こんにちは。堂園です。 今回やるのは、前田透著『落合直文―近代短歌の黎明』(明…

第32回 関川夏央『子規、最後の八年』

にぎやかに、時に静かに 土岐友浩 子規、最後の八年 (講談社文庫) 作者: 関川夏央 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/04/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 子規たちも、かつて闇鍋をしていた。 闇汁会を発案したのは子規であった。…

第31回 吉本隆明『吉本隆明全著作集5』

永井祐 こんにちは。 最近いそがしくて。10月くらいとか、何かとあるんですよね。 そういうわけで、いつもより準備できてないんですが、 定期更新が大事であるブログなので、今回もやっていこうと思います。 本は、「吉本隆明 全著作集5(文学論Ⅱ)」(勁…

第30回 田中登、松村雄二編『戦後和歌研究者列伝―うたに魅せられた人びと』

研究者でたどる和歌史 堂園昌彦 戦後和歌研究者列伝―うたに魅せられた人びと 作者: 田中登,松村雄二 出版社/メーカー: 笠間書院 発売日: 2006/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る こんにちは、堂園です。 最近、いろんな人から「堂園さ…

第29回 坂野信彦『七五調の謎をとく』

七と五のまわり 土岐友浩 七五調の謎をとく―日本語リズム原論 作者: 坂野信彦 出版社/メーカー: 大修館書店 発売日: 1996/10 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (2件) を見る 昨日、こんなツイートが回ってきた。 @Perfect_In…

第28回 斎藤茂吉『斎藤茂吉随筆集』

永井祐 先日、とある会合の帰りの電車で、 同じ会に出ていた人と二人きりになった。 23時を過ぎた、それほど混んでいない中で並んで吊革につかまっていると、 その人が「永井さんは旅行、しないの?」と言ってきた。 「しない」という返事をはっきりと予想…

第27回 尼ヶ崎彬『近代詩の誕生―軍歌と恋歌』

日本最初の「詩」は軍歌だった!? 堂園昌彦 近代詩の誕生―軍歌と恋歌 作者: 尼ヶ崎彬 出版社/メーカー: 大修館書店 発売日: 2011/12 メディア: 単行本 クリック: 3回 この商品を含むブログを見る こんにちは。 今回は尼ヶ崎彬『近代詩の誕生―軍歌と恋歌』(…

第26回 永田和宏『解析短歌論』

「ない」を見る眼 土岐友浩 解析短歌論―喩と読者 作者: 永田和宏 出版社/メーカー: 而立書房 発売日: 1986/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「短歌のピーナツ」第10回で、塚本邦雄の『新撰小倉百人一首』を取り上げた。その名の通り、百人一…

第25回 安田純生『現代短歌のことば』

永井祐 こんにちは。 今日は、安田純生『現代短歌のことば』(邑書林)です。 現代短歌のことば 作者: 安田純生 出版社/メーカー: 邑書林 発売日: 1993/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 1993年刊。 これは、文語に関するお話です。 …

第24回 小高賢『宮柊二とその時代』

宮柊二と戦後社会 堂園昌彦 宮柊二とその時代 (五柳叢書) 作者: 小高賢 出版社/メーカー: 五柳書院 発売日: 1998/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る こんにちは。堂園です。 今日やる本は、小高賢さんが1998年に五柳書院から出した『宮…

第23回 高島裕『廃墟からの祈り』

光を待つ 土岐友浩 廃墟からの祈り 2007年12月、京都で「いま、社会詠は」というシンポジウムが開催された。 小高賢が結社誌「かりん」の誌上で、イラク戦争などを背景として、現代における社会詠の難しさを論じ、青磁社の時評を担当していた大辻隆弘、吉川…

第22回 塚本邦雄『夕暮の諧調』

永井祐 こんにちは。 今日は、塚本邦雄『夕暮の諧調』(本阿弥書店)をやります。 定本 夕暮の諧調 作者: 塚本邦雄 出版社/メーカー: 本阿弥書店 発売日: 1988/11 メディア: ハードカバー この商品を含むブログ (1件) を見る もとは1971年刊(人文書院)、わ…

第21回 岡井隆・小池光・永田和宏『斎藤茂吉――その迷宮に遊ぶ』

ドリームチーム、茂吉を語る 堂園昌彦 斎藤茂吉―その迷宮に遊ぶ 作者: 岡井隆,小池光,永田和宏 出版社/メーカー: 砂子屋書房 発売日: 1998/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る こんにちは。 今回の本は、1998年に砂子屋書房から出た、岡井隆・…

第20回 佐藤春夫『晶子曼陀羅』

事実か、真実か、それとも物語か 土岐友浩 晶子曼陀羅 (講談社文芸文庫) 作者: 佐藤春夫 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1993/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 与謝野晶子といえば歴史の教科書に「君死にたまふことなかれ」という詩…

第19回 小池光『街角の事物たち』

永井祐 こんにちは。 今日やるのは! 人は「そとづら」が9割 作者: 三枝理枝子 出版社/メーカー: アスコム 発売日: 2013/10/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る ではなく! 街角の事物たち (五柳叢書) 作者: 小池光 出版社/メ…

第18回 大岡信『一九〇〇年前夜後朝譚』

「短歌」と「和歌」の違いってなんだ 堂園昌彦 一九〇〇年前夜後朝譚―近代文芸の豊かさの秘密 作者: 大岡信 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1994/10/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る こんにちは。 この「短歌のピーナツ」を始めてから、…

第17回 阿木津英『折口信夫の女歌論』

「折口信夫の女歌論」を越えて 土岐友浩 折口信夫の女歌論 (五柳叢書) 折口信夫は、国文学の大学者であり、近代社会を徹底的に批判したアウトサイダーでもあった。 * 近代短歌は、正岡子規が「写生」を唱えたところから始まった。言い換えれば、「写生」が…

第16回 小高賢『老いの歌』

永井祐 今日は、『老いの歌』(2011年刊・岩波新書・小高賢)をやります。 老いの歌――新しく生きる時間へ (岩波新書) 作者: 小高賢 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/08/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 小高さんは2009年に「老…

第15回 来嶋靖生『大正歌壇史私稿』

読みやすい大正歌壇史 堂園昌彦 大正歌壇史私稿 作者: 来嶋靖生 出版社/メーカー: ゆまに書房 発売日: 2008/04 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を見る こんにちは。 突然だが、皆さんが大正時代の短歌の流れをザッと概観したい…

第14回 枡野浩一『石川くん』

不来方への手紙 土岐友浩 石川くん (集英社文庫) 作者: 枡野浩一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2007/04/20 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 19回 この商品を含むブログ (44件) を見る 昔やっていた「トリビアの泉」というTV番組では、なぜか啄木が取…

第13回 伊藤一彦『若山牧水 その親和力を読む』

永井祐 若山牧水―その親和力を読む 作者: 伊藤一彦 出版社/メーカー: 短歌研究社 発売日: 2015/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る こんにちは。 今日は、伊藤一彦『若山牧水―その親和力を読む』(短歌研究社)です。 一年前くらいに出たわりと…

第12回 臼井和恵『窪田空穂の身の上相談』

窪田空穂39歳、身の上相談に答える 堂園昌彦 窪田空穂の身の上相談 作者: 臼井和恵 出版社/メーカー: 角川学芸出版 発売日: 2006/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 窪田空穂。1877年(明治10年)生、1967年(昭和42年)没。言わずと知れた結…

第11回 『現代の第一歌集―次代の群像』

吉田恭大 現代の第一歌集―次代の群像 作者: 田島邦彦 出版社/メーカー: ながらみ書房 発売日: 1993/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る こんにちは、吉田恭大です。ご縁あってゲストに呼んでいただいて、久々に本の山を掘り返しました。 土岐さ…

第10回 塚本邦雄『新撰小倉百人一首』

星を編んだ眼 土岐友浩 新撰小倉百人一首 (1980年) 映画の「ちはやふる」が面白かったから、というわけでもないのですが。 競技かるたに使われる百人一首は、藤原定家が晩年に編んだもので、後世のものと特に区別する場合は「小倉百人一首」と呼ぶ。 もちろ…